『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』の感想@海外に興味をもつ一冊!
海外に興味をもつ一冊として、ご紹介したいのがコチラ、
米原万里さんの『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』です。
米原万里
そんな彼女の代表作といってもいいのが、『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』。Amazonの評価も非常に高いです。
『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』
一九六〇年、プラハ。小学生のマリはソビエト学校で個性的な友だちに囲まれていた。
男の見極め方を教えてくれるギリシア人のリッツァ。
嘘つきでもみなに愛されているルーマニア人のアーニャ。
クラス1の優等生、ユーゴスラビア人のヤスミンカ。
それから三十年、激動の東欧で音信が途絶えた三人を捜し当てたマリは、少女時代には知り得なかった真実に出会う!
大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。
まず思ったことは、「この本はこの人にしか書けない」ということ。ノンフィクション小説というのは、だいたいそうであるし、だからこそ貴重なのですが、それにしたって、このような本はあまりに希少である。
幼少の頃をソビエト学校で過ごす、その時の記憶力と文章での再現力は見事としかいいようがない。更に、もっとすごいのは、当時の友達と大人になってから再会する行動力。こんなの、彼女にしか書けない一冊である。
内容はといえば、共産主義に振り回された激動の時代である。今となっては、誰も同じ経験をすることはできない、希少価値のある内容。史的文献としても参考になる。
やや文量があるのと、政治に関する記述があるので、さくっと読み終えられる本ではないが、これを読むと、どこか、海外に興味が湧いてくる。というより、日本にとどまっている自分を省みるようになる。
“私は日本で生まれた日本人である”――そんなことは承知しているが、他の国籍と触れ合うことで、よりその“重み”を実感することができる。“他を知ることで己を知る”。
国籍によって、様々な事情がある。そんなことは当たり前のことである。しかし、その“様々な事情”を実感として学ぶ者はあまりに少ない。
“人類みな兄弟”なんて言葉ありますけども、そんな簡単な話じゃないな、と、あらためて気付かされます。が、読後に感じたのは、やはり、「なんとかひとつにならんもんかな…」とい“願い”でした。
「道徳教材になるんじゃないか」と思わせるくらい、健全な良書だと思いました。そう考えると、中高生が読んだほうがいいかもしれません。
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以上です。小説としても大変面白い作品となっているので、多くの人が楽しめるのではないかと思います。
ではまた!